(1) | 喫煙者に、がん、心臓病などの疾病の罹患率等が高いこと、及びこれら疾病の原因と関連があることは多くの疫学研究等により指摘されている。このため、たばこ対策を推進することにより、国民の健康に与える悪影響を低減させていくことが必要である。
○ | 喫煙が健康に及ぼす悪影響については、長い研究の歴史があり、今日においては多くの研究成果が蓄積している。その結果、喫煙者に、がん、心臓病、脳卒中、肺気腫、喘息、歯周病等、特定の重要な疾病の罹患率等が高いこと、及びこれらの疾病の原因と関連があることは多くの疫学研究等により指摘されている。
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○ | また、妊婦の喫煙による流産、早産、低出生体重児などの発生率の上昇も報告されており、妊娠中の喫煙が胎児の発育に悪影響を及ぼすことが指摘されている。
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○ | なお、いわゆる低タール・低ニコチンたばこであっても、体内のニコチン量を一定に保つよう無意識のうちに調整する作用が働くことから、吸う本数や吸う強さが増え、逆に健康への悪影響が増大するという指摘もある。 |
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(2) | 喫煙には依存性があることは確立した科学的知見となっている。いったん喫煙を開始すると禁煙することは一般的には難しい。このため、成人で判断能力のある者に対しても、たばこ対策を推進することが必要である。
○ | 国際疾病分類(ICD−10)や精神医学の分野で世界的に使用されている「精神障害者の診断及び統計マニュアル第4版」(DSM−IV)において、ニコチン依存は独立した疾患として扱われている。このようにたばこに依存性があることも確立した科学的知見となっている。 |
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(3) | 受動喫煙についても、最近の知見によると、本人による喫煙の場合と同様の事実が指摘されている。これは、喫煙していない他者の健康への悪影響を及ぼすもの(他者危害)であり、たばこ対策を推進することは、この視点からも正当化される。
○ | 受動喫煙により、肺がんや心臓病など様々な疾患の罹患率等が上昇したり、非喫煙妊婦でも低出生体重児の出産の発生率が上昇する、といった研究成果が近年数多く報告されており、他人のたばこの煙を吸わされることによって健康への悪影響が生じることについても指摘されている。 |
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(4) | 我が国の喫煙率は、特に男性について先進国の中でも極めて高い。さらに、未成年者の喫煙率も過去と比べて依然として高いものとなっている。未成年者の喫煙はすでに法律で禁止されており、法律の趣旨を徹底すること、未成年者にたばこ購入の機会を与えないことは、青少年保護の観点からも重要である。
○ | 我が国の喫煙率は、先進国の中でも極めて高いものとなっている。男性の喫煙率は低下傾向にあるとはいえ、なお、50%近くに及び、国民の健康増進の観点から、さらに大幅な喫煙率の低下が必要である。また、女性の喫煙率は比較的低率で推移してきたが、それでも20−30代の女性の喫煙率は、40代以上の女性の喫煙率と比べて高く、男性と異なり今後喫煙率の上昇が懸念される。さらに妊婦の喫煙率が上昇傾向にあるとの調査もあり、胎児の発育に対する悪影響が懸念される。
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○ | 我が国では未成年者喫煙禁止法により未成年者の喫煙は禁止されている。しかしながら、未成年者の喫煙率は高校3年生の男子が36.9%、女子が15.8%との調査があり、これまでなされてきた取組にもかかわらず、高率のまま推移しており、これらの世代が成人後も喫煙を継続し、喫煙率の上昇を支えることが懸念される。さらに、たばこには依存性があり、喫煙開始年齢が低ければ低いほど健康への悪影響が大きく現れるという問題もある。 |
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(5) | 喫煙による医療費、労働力などへの悪影響について、研究報告がある。このため、たばこ対策を推進することにより、これらの負担を低減させていくことが必要である。
○ | 喫煙がなければ回避できた死亡者の数(超過死亡数)について、我が国では9万5千人にのぼるとのWHOの研究報告がある。また、喫煙が健康に与える悪影響の中でも特に、がん、循環器疾患といった疾患は、我が国の死因の6割を占めており、がんに関して言えば、特に喫煙による罹患・死亡リスクの上昇が高い肺がんは、がんの中でも死因の第1位を占めている。
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○ | 喫煙は、健康に悪影響を及ぼし、それが我が国の医療費に影響を与えており、喫煙がなければその分の負担が不要であった医療費(超過医療費)は1兆3千億円にのぼるとの試算もある。また、労働力への影響などを含めるとその額はさらに大きくなるとの試算もある。 |
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