ワイガンド博士は「ドーモ、ドーモ」と日本語で挨拶しながらにこやかに登場。ステージの端っこへじかに腰掛け、客席にぐっと近い距離でスピーチするなど、とってもフレンドリーな方でした。
「これからお話しするのはタバコ会社に対する非難や中傷ではなく、わたしが見た“真実”です」
博士がB&Wタバコ会社に勤めたのは1988年からの約4年間。科学者として“より安全なタバコ”の開発に取り組むためでしたが、その内幕は矛盾だらけてビックリ!
「タバコは4000〜8000種類もの化学物質を発生させるゴミにすらできない代物。人体にダメージを与えないタバコなど存在しないんです」
研究結果の記録・公表にいちいち弁護士が介入することにも不審を感じました。博士は病気の発症率が比較的少ないタバコを開発したのですが、その成果ももみ消されます。なぜって、“より安全なタバコ”を発売すれば、今までのタバコが有害だったと自ら認めたことになるからです。
「タバコ会社は2つのウソに支えられて存続しています。
1つ目は『喫煙と病気に関連性はなく、軽いタバコを選べばより安全である』というウソ。
2つ目は『ニコチンに依存性はない。喫煙者は“味”が好きで吸っている』というウソです」
(日本のJTや財務省も同じこと言ってますよね)
一方でタバコ会社は、
「遺伝子工学を使ってニコチン含有量を増やしたり」
「アンモニアでニコチン吸収率をアップさせたり」
「チョコレートや甘味料などの添加剤で口当たりをごまかしたり」
することに余念がありませんでした。しかも、そうした“機密”に触れる議事録は廃棄されたのです。
「わたしはいくつかの医薬品メーカーで仕事をしましたが、ばれると都合の悪い資料を廃棄する会社なんて見たことがない」
タバコ会社の“裏切り者”に対する処置は知っていました。それでもワイガンド博士は告発に踏みきりました。家族まで巻き込む悪質な嫌がらせや脅迫に怯え、苦しみながらも……。
「『もう一度同じ目に遭ってもやるか?』と聞かれれば……やりますよ」
ワイガンド博士の言葉に一同じ〜ん……。会場から大きな拍手がわき起こり、60分間の講演は終了しました。
映画のワイガンド博士はいつも悩んでいましたが、ご本人は明るく朗らかな表情が印象的な紳士。真実とともに生きることで、心が晴れ晴れとしたのでしょう。
そういえば、昨年(2000年)の禁煙デー・イベントにおいでいただいたフィリップモリスの“インサイダー”(元研究員)ビクター・デノーブル博士もかっこよかったなあ!
JTの皆さん、財務省の皆さん、21世紀はパーッと内部告発でもして、さわやかに生きてみませんか!