2003年5月31日 たばこ裁判第2次原告団アピール

年間死亡者総数10万人のたばこ病(肺癌、肺気腫、喉頭癌など)を一掃しよう!

 本日、世界禁煙デーにあたり、たばこ病裁判第二次原告団は、世界からたばこ病がなくなることを願い、かつ現在取り組まれているたばこ裁判について、さらに提訴予定の原告団が存在することを報告し、この裁判に多くの原告が結集し、従来にも増して国民的闘いとして、勝利することを願ってアピールを発表するものです。

 「もうどうなってもいいんです‥‥。」たばこ喫煙の長い年月の後、肺癌、喉頭癌、肺気腫などに侵されながら、尚たばこから離れない人達が、よく口にする言葉です。病気と闘いながらなお喫煙習慣から離れられず、「明日から」とか「あと一本、もう一本だけ」と、自分に言い聞かせつつたばこに手を出してしまうのです。家族にも友人にも医者にも約束しながら、自分も人も裏切ってたばこを手にしている"愛煙家"。立場を失い立つ瀬もなく、結局「もうどうなっても・・・。」というところに追いこまれるのです。しかしこのようなことが解っている故に、何を云われても頑なに喫煙を続ける人もいます。

 皆さん、このような姿をどう思われますか。まさにこれがたばこ病です。長期かつ強い「たばこ依存症」となり、身体と精神を侵され、自分だけでなく家族、友人などを悲しませ苦しめてしまうのです。この原因は喫煙者個人の責任というより、これほど強力な依存症をもたらし、しかも有害なたばこを販売してきた日本たばこ産業株式会社(JT)と日本政府こそ、その責任が問われるのではないでしょうか。

 私たちはいま痛恨の思いで、告白するとともに告訴せずにいられません。私たちはすでにたばこを断ち切っています。しかしたばことの縁は、もはや断つことは出来ず、それぞれたばこ病に苦しんでいます。

 喉頭癌の場合は、喉を切り取って、腸を切り移植して食道を再生。しかし声帯は失いました。自分の声で話しをする喜び、楽しみを二度ともてないことになりました。

 肺癌の場合は一部を切り取ってしまい、日常生活で息苦しい場面が増え、仕事はとても疲れて今後生活を支えていけるかどうか、不安にさいなまれています。

 肺気腫の場合、慢性気管支炎、喘息との合併で5回も入退院を繰り返し、人工呼吸器の挿管2回をへて、24時間の酸素吸入をする日々となり、「陸にいて海で溺れるような息苦しさ」を、味わうこととなりました。

 いま日本では、たばこは堂々と大量に販売されています。「吸い過ぎはあなたの健康を害する恐れがあります」と、あたかも吸いすぎなければ問題はないような警告?コピーが印刷されおり、たばこの有事牲、依存性などをごまかしています。かっては「今日も元気だ、たばこがうまい」という、たばこの宣伝コピーがありました。病気をもたらすたばこが逆に元気(健康)と、結びつけられていたのです。自動販売機は60万台もあり、20歳未満の青少年が禁じられているとは、とっても思えない自由さでたばこを買うことが出来ます。WHO(世界保健機構)は、世界で490万人、日本でも10万人の人々が、一年聞にたばこ病で死亡していると警告しています。それ故WHOは3年かけて、「たばこ規制枠組み条約」を策定したのです。

日本の成人男性の半分、女性の20%は喫煙習慣を持っています.今後たばこ病患者の大量発生を思うとき、もはや具体的対策をとることが緊急かつ不可欠の国家政策であると痛感するものです。WHOが5月21日の総会で、「たばこ規制条約」を満場一致で採択したことは、人類の健康にとって画期的な出来事です。日本政府が消極的な対応をとり続けたこと、日本医師会からその対応を改めるよう申し入れを受けたことは衆知の事実です。従ってたばこ規制を一段と強化したり、たばこの毒性を青少年にしっかりと教育することなどは、一層の国民運動が求められていることと思います。

その一環として、政府、財務省、日本たばこ産業などを法廷に引き出して、その反社会牲、不当性、非道な態度を明らかにする、裁判も大切なことではないでしょうか。国民の健康を増進すべき立場にある政府が、有害、有毒なたばこ販売を応援し、国民を病気にさせて、税金を取るというこの国のありようを放置していいものでしょうか。

少子高齢化社会では、ますます一人ひとりの健康と高齢にとっても、働ける体力・気力を持った健康の維持、増進が必要ではないでしょうか。自治体や各地の教育委員会が、たばこ規制に立ち上がっています。私たちもこの動きに合わせて、さらに努力をする時期を迎えています。

 たばこを吸い続け、たばこ病になった皆さん、たばこを止めてなお、たばこ病に苦しんでいる皆さん、その後遺症で苦しんでおられるみなさん。この苦しみを断ち切るために、また自分は手遅れだとしても、子や孫たちの世代に、この苦しみの連鎖をつなげないために、共に裁判の原告になろうではありませんか。

 原告になることは世間に己の恥をさらす上に、金も時間も大変だとお考えの方もいらっしゃることでしょう。私たちも’自業自得’だという家族の声、自分自身をも責めるこの考えにとらわれておりました。しかしそれでは−泣き寝入り−、文句も云わず死んでいっていいのかと自問し、その繰り返しでした。しかしすでに第一次裁判で立ち上がった7名の原告団が存在することに感動しました。巨悪にたちむかうたばこ病患者の姿は、私たちの背中を押すものでした。5年の大変な経過を経て、来たる10月21日判決が出されます。

私たちも勝訴を確信し、続けて原告に加わることを決意しました。政府も5月1日から「健康増進法」を施行し、「受動喫煙防止」へ重い腰をあげました。たばこの野放しを許せないと思う方、どうぞご一緒に立ち上がりましょう。たばこ喫煙による被害者、たばこ病患者のみが、政府、日本たばこ産業に損害賠償裁判を起こせるのです。健康上経済上の不安なども含め様々な悩みは相談しあって、その状態にあせて原告活動の工夫は可能です。声をかけてください。あるいはファックス、お手紙などお待ちしています。

最後にたばこ病裁判に犠牲をかえりみず献身されている弁護団、支援を惜しまない多くの団体、支えてくださった多くの皆さんに、深く感謝と敬意を表明します。すでに原告団のうち3名が他界されており、私たちはそのご遺志もついで奮闘する決意です。世界のすべての人間が、たばこ病の苦しみから解放されるために、ご一緒に前進したいと思います。

 たばこ病裁判第二次原告団、

  代表・三瀬勝司、

     高橋是良、

 事務局 水野雅信、

Tel・Fax 045−788-1840

★ 連絡先・問い合わせ・相談など、

伊佐山芳郎弁護士事務所

TEL 03−3358−4628

FAX 03−3358−4629

住所 東京都新宿区四谷1−2伊藤ビル10F