EVENT Report

〜2005年「世界禁煙デー」記念シンポジウム報告〜

タバコ規制の条約と日本の課題


 

5月28日(土)午後6時30分から9時まで、千代田区飯田橋の「東京しごとセンター」においてタバコ問題首都圏協議会主催の「2005年世界禁煙デー記念シンポジウム −タバコ規制と日本の課題−」を開催致しました。
 冒頭、来賓の禁煙推進議員連盟幹事武見敬三参議院議員からご挨拶をいただきました。「たばこ規制枠組条約(FCTC)」の署名、批准に際して、禁煙議連がいろいろと働きかけを行ったこと、今後条約の精神を生かして、もっと日本政府や医学団体が積極的にタバコ規制に向けて行動を起こしていくことの重要性を訴えられました。
 まず、シンポジストの方々から次の講演をいただきました。
仲野暢子さんからは、日本の禁煙・嫌煙運動の発足からFCTC制定までの動きをわかりやすく解説していただき、今後、自販機問題やタバコの値上げに向けて、どのように運動を発展させていくべきかお話いただきました。
 伊佐山芳郎さんからは、6月22日に判決がある「タバコ病訴訟」控訴審の見通しを中心に、タバコ産業が「滅び行くべき産業」であることと、水俣病やハンセン病の問題を例に、行政の怠慢や問題点を鋭く指摘しました。特に秋山延壽裁判長がJTの岩淵代理人と、一時期最高裁で同じ部屋で仕事をしていたことも告発し、裁判官忌避を検討したことも紹介していただきました。
 高橋是良さんからは、第二次タバコ病訴訟を、原告の3人が横浜市在住であることから「タバコ病をなくす横浜裁判」と名づけたこと、支援組織が提訴の日と第1回口頭弁論の両日200人以上を動員してくれたこと、裁判に向けてのチラシも1万枚以上配布したことを報告されました。今後、タバコ自販機撤去の署名活動や有害表示の強化、タバコ病患者の救済をめざして、粘り強く闘っていくことを強調されました。
 安井幸一さん、平田信夫さん、大畠英樹さんから、狭い車内での著しい受動喫煙を無くすため懸命に取り組んでいる「禁煙タクシー訴訟」の法廷での動きが報告されました。さらに、東京大学の中田ゆりさんからは、タクシー運転者に対して行ったアンケート調査の中間報告がされました。これまでの250人を超える聞き取り調査では、1日に平均16本以上の受動喫煙の実態があり、相当深刻な状況にあることが紹介されました。
 加藤尚彦さんから、ノルウエー大使館でブルントラント前WHO事務局長にブ氏を、ノルウエー大使から「チームを創って仕事をしていく天才」と紹介されたことが印象に残っており、日本でも「タバコ消費削減に皆さんとチームを組んで取り組んでいきましょう」と話していただきました。
 その後、シンポジストが壇上に並び、会場から出されたいくつかの質問に応えていただきました。
最後に次のアピールを参加者一同で採択し、無事閉幕しました。

アピール文全文はこちら




・・・・プログラム再録・・・・

「『たばこ規制枠組条約』(FCTC)までの道のりと今後の課題」
全国禁煙・分煙推進協議会 副会長
仲野 暢子
「たばこ病訴訟控訴審の判決を前に」
たばこ病訴訟弁護団 団長/弁護士
伊佐山 芳郎
「『たばこ病をなくす横浜裁判』の報告」
第二次たばこ病訴訟原告団 事務局長
高橋 是良
「訴訟を決意して18年 やっと実現しました」
禁煙タクシー第1号運転者
安井 幸一
「『禁煙タクシー訴訟』の法廷から」
禁煙タクシー訴訟原告
平田 信夫
「神奈中ハイヤー(代表取締役社長)VS乗務員(大畠 英樹)」
神奈中ハイヤー乗務員
大畠 英樹
「WHOたばこ規制枠組条約遵守 学校敷地内禁煙を国民運動に!」
衆議院議員/文部科学委員会 委員
加藤 尚彦